今回は、ヨーロッパイエコオロギ(通称:イエコ)の飼育方法を解説していきます。イエコってすぐ死んでしまうイメージありますよね。今回はイエコの死亡率を下げ、元気に育てるために最適な飼育方法を解説していきます。
イエコの死因
元気なイエコを育てるにはまず、なぜ死んでしまうのかその原因を考えましょう。私がイエコの飼育をおこなってきて、死んでしまう原因と考えているのは、以下の3つです。
- 水分がたりない
- アンモニアの発生
- 共食い
まずはこれらについて解説していきます。
水分が足りない
イエコも生き物ですから、当然水分を必要とします。しかし、人工飼料だけで飼育していると慢性的な水分不足におちいり、死ぬ可能性が高くなるのだと考えています。
特に、ゴキブリに比べてコオロギはその傾向が強いように感じますね。
アンモニアの発生
コオロギは蒸れに弱いとよく言われます。たしかに乾燥気味の方がいいのでしょうが、私の経験上、湿度が80%を超えていてもそれ自体は問題ありません。問題はフンと換気にあるのではないかと考えています。
コオロギのフンは水分を含むとアンモニアを発生します。そのため湿度が高くフンが溜まっているとコオロギが死にやすいというわけです。
ですから、空気がとどまる場所を最小限にすることとフンの定期的な清掃を心がければ、かなり死亡率が下がるはずです。
おすすめの飼育ケージの組み方も後ほど解説します。
共食い
コオロギは共食いをすることがあります。といっても、普段からけんかして仲間を襲うというものではなく、脱皮直後や抵抗力の弱い個体が狙われます。これは、過密飼育を避けることと、普段から動物性たんぱく質を含んだ餌を与えることで対処します。
ここからは、以上のような死因に対策を打った飼育方法をご紹介していきます。
イエコの飼育環境
それでは、おすすめのイエコの飼育方法を紹介していきます。先に必要なものをまとめて書いておきます。
- 広く高さのあるつるつるしたケース
- 鉢底ネット
- グルーガンや接着剤
- 卵パック
- 餌皿(浅いタッパーなど)
イエコの飼育ケージ
イエコの飼育ケージは、できるだけ広さと高さがあるものにしましょう。広さを確保する理由は、通気性の確保と過密を避けるため、高さはジャンプして脱走されるのを防ぐためです。
また、イエコはつるつるとした壁をのぼることができないので、飼育容器はツルツルとした手触りのものにし、フタも用意しましょう。
しかし、汚れやざらざらしたところがあると登られる可能性がありますし、ジャンプして越えられる可能性もあります。なので、念のためフタのあるものにしましょう。
フタについて
先程も述べましたが、脱走防止のため、フタはつけた方がいいです。ただ、衣装ケースなどのフタをそのまま使うと蒸れゃ高温によってコオロギが全滅する可能性が高くなります。
そのため、フタを改造します。
フタの改造の仕方
フタの大部分を切り取り、その切り抜いた部分に、鉢底ネットをグルーガンなどで貼り付けていきます。
ポイント
- 切り取るのは大変なので、ドリルなどの工具があるといいです。
- 鉢底ネットは100均の園コーナーに売っていますので簡単に手に入ります。
- 切り取る際は、大きく切り取り、フタの大部分が鉢底ネットになるようにしましょう。
このようにフタを改造することで、脱走とともに蒸れを防ぐことができますよ。
飼育ケージ内容物
イエコ飼育ケージ内容物は以下の3つです。
- 卵パック(足場・隠れ家)
- 餌皿
- 給水機
卵パック(足場)の置き方
ケージ内には、足場として、紙製の卵パックを使用します。入手できない場合は新聞紙でもいいですが、卵パックの方が掃除が楽で通気性の確保もしやすいです。または、鉢底ネットを結束バンドで丸めたものでもOKです。
卵パックは卵の入る底の部分をすべて切り取ることがポイントです。ここをくりぬくことで通気性が上がり、空気がこもることが少なくなります。卵パックは、この穴をあけた面を下に向けて置いていきます。
そうして穴をあけた卵パックを、飼育ケースの真ん中をあけるようにしてまず一段置きましょう。真ん中をあける理由は、エサ皿や水入れを置くスペースにするためです。真ん中にそれらを配置できるよう、予め卵パックはちょうどよいサイズにカットしておきましょう。
卵パックを重ねる際は、鉢底ネットなどをかませて、卵パックが沈んでくっついてしまわないように重ねていきましょう。鉢底ねっとの面積が広すぎると、せっかくあけた穴を通り抜けられなくなるのでちょうどいいサイズを模索しましょう。
下のイラストのように、穴を下にして同じ向きで重ねると、フンが溜まらずにそのまま下に落ちていくのでおすすめですよ。
餌皿について
餌皿は、コオロギにあげた餌が床にこぼれないようにするために置きます。その方が、食べ残しの掃除もしやすくなりますよ。食べ残しはダニやチャタテムシのような虫たちの発生源になりかねないのできれいに片づけましょう。
エサ皿は、コオロギたちが入りやすいよう、できる限り背の低いものにしましょう。小さなタッパーがおすすめですが、コオロギたちはタッパーの壁を登れないので、しっかりヤスリをかけるなどして、ざらざらさせましょう。
給水機について
イエコにはいつでも水分補給をしてもらえるよう、必ず給水機を設置します。ネットで買うこともできますが、100均の材料(浅いタッパーと太めのヒモ)で簡単に作れます。
浅いタッパーのフタに小さな穴をあけ、そこに下からヒモを少しだけ出します。これで完成です。あとはタッパーに水を入れて、ヒモを水にひたしてフタを閉めればOKです。アルコールランプの要領で、ヒモの先はいつも水を含んだ状態になります。
穴は2つ開けてヒモの端と端を通すと2か所の水飲み場ができるのでおすすめです。また、タッパーはつるつるしているので、イエコがのぼったり歩いたりできるようヤスリをかけたり傷をつけておきましょう。
イエコの餌やり
それでは次に、イエコの餌について解説していきます。
イエコに与える餌の種類
イエコに与える餌は、基本的には人工飼料、たまに野菜や果物という感じでいいです。それぞれについて解説していきます。
人工餌について
コオロギの雑食性という食性と共食いへの対策として、人工餌はラビットフードなどの草食動物向けのものと、キャットフードなどの肉食動物向けのものを併用するといいです。
固形の人工飼料の場合、すり鉢やミルなどで粉状にしてからあげましょう。いくらあごの強いコオロギでも硬いものは硬いし、なにより食べやすいほうがいいでしょう?(笑)
野菜や果物について
イエコは野菜や果物もよく食べます。水分補給にもなりますし、なにより天然の食物をあげられるのでいいのではないでしょうか。農薬が残っているとよくないと思いますので、しっかり洗ってからあげるようにしましょう。
- にんじん
- かぼちゃ
- キャベツ
- りんご
- ほうれんそう
などがおすすめです。
とはいっても、コオロギのために買ってくる必要はなく、料理で使わなかった部分や余った分で大丈夫です。それに、基本は人工飼料で問題ないので、家庭の余りをコオロギにあげる形でいいですよ。
たまに昆虫ゼリーで代用するのもアリです。
餌の与え方
餌は先ほども説明しましたが、粉砕した人工飼料です。できれば毎日食べきれるだけの量をあげましょう。また、毎回別のものをあげるといいです。彼らは意外に飽き性なのか、選り好みしている気がしています。
ローテーションのおすすめは、植物性A→植物性B→動物性、という風に、植物性を複数用意し、たまに動物性を挟むというペースです。
以下の点には注意しましょう。
- 餌は必ず餌皿に入れる
- 残した餌は放置しない
餌の水分が床のフンについたり、食べ残しが放置されるとアンモニアが発生したり、ダニやコバエなどがわいたりする原因になります。エサは必ずエサ皿に入れてあげ、残した餌はきれいに片づけましょう。
イエコのケージ清掃
イエコを飼っていると、当然卵パックは汚れていきますし、フンもたまっていきます。特にフンはアンモニアを発生させ、大量死の原因にもなり得ます。
そのため、定期的な掃除が必要になります。
掃除の間隔
掃除は、1~2週間以内に行いましょう。掃除をしなければ、不衛生でコバエやダニが発生しかねないうえ、アンモニアによる死滅もあり得ます。できるならもっと頻繁に行うといいと思います。
掃除の仕方
掃除で行うことは、
- フンを捨てる
- ケージ自体をきれいにする
- 卵パックを新しいものに変える
です。
ただし、メンテナンスの頻度によっては卵パックやケージ内がそこまで汚れていない場合もありますので、卵パックの交換やケージの洗浄は様子を見て決めてもOKですが、フンだけは必ず捨てましょう。
- 卵パックと餌皿を回収し、ケージ内をイエコだけにする
- イエコを別のケースに移す
- フンをすべて捨てる
- ケージと餌皿を洗い、水分をしっかりふき取る
- ケージに餌皿と、新しい卵パックを入れる
- イエコをケージに戻す
イエコの繁殖に挑戦しよう
イエコの管理は以上のような管理方法でやればばっちりです。飼育していればいずれ成虫になります。繁殖に成功すれば餌代が浮きますので挑戦してみる価値はあると思いますよ。
イエコの交尾
イエコの交尾は特に気にすることはありません。成虫になれば雄と雌が勝手に交尾してくれます。ただし、オスは成虫になるとメスへの求愛のために一生懸命鳴きますので覚えておきましょう。
きれいな鳴き声ですが、大量に飼育しているとうるさいかもしれません。
イエコの産卵
イエコが成虫になって1週間もすれば、交尾が済んだメスは産卵をしてくれます。そのため、産卵をしてもらうための産卵床が必要になります。
そこで、以下で産卵床の設置の仕方を紹介します。
産卵床の作り方
産卵床は、湿らせることのできる床とそれを入れるケースで作ります。ハイドロボールと浅いタッパーと鉢底ネットを用意します。
ハイドロボールは、100均の園芸用品コーナーでも手に入る、土のようなものです。水をため込む性質があるので、湿った産卵床としては最適です。もしくはキッチンペーパーやティッシュなどでもいいです。
これを背の低くて小さめのタッパーなどに入れ、霧吹きなどで湿らせておきます。
タッパーのフタは大きくくり抜いて鉢底ネットに改造するのがおすすめです。こうすることで、イエコが産卵床を荒らしたり、産み付けられた卵を食べることができなくなります。面倒であればフタをつけずにおいてもいいです。
イエコが卵を産んだら
イエコが卵を産んでいるのを確認したら、タッパーごと別のケースに入れておきます。そして新しい産卵床セットをイエコのケージに入れて、また産卵してもらいましょう。
タッパーごと別ケースに入れるのは、孵化したイエコが産卵床から出たときに逃げないようにするためです。産卵床を移動した別ケースにはフタをしておくと湿度が保たれますよ。
産卵床の管理
産卵床は、常に軽く湿った状態にしておきましょう。(びしょびしょはダメです。)そうしておいておけば、2週間ほどで孵化してきます。
孵化した幼虫の管理方法
孵化した幼虫も、管理方法は基本は上記のもので大丈夫です。しかし、ケージが広すぎると餌にありつけなかったり、水分不足で死んでしまう可能性が上がるので広すぎないケージで飼いましょう。
また、餌皿を置いてしまうと、登れずに食べれないということもありますので、小さいうちは餌皿はなしで、掃除を丁寧に行いましょう。
イエコの管理は大変
これまで見てきたように、イエコの管理は簡単なものではありません。特に、繁殖はなかなか手のかかるものです。なので、繁殖を狙って大量購入するよりも、欲しい分だけ買って確実に生きながらえさせるというのも手です。
どちらにせよ、イエコも餌でありながら命です。餌になるまでは大切なペットとして、元気に育ててあげるんだという責任感をもって飼育しましょう。
まとめ
今回は、ヨーロッパイエコオロギ、略してイエコの飼育方法と繁殖方法として現時点で私が最適と考えるものをご紹介してきました。
餌用とはいえお金を払って購入したものですし、なにより命ですから、この記事を参考にして大切に育てていただき、エサになるまで元気でいてくれることを願います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!