爬虫類や両生類の餌について調べるとほぼ必ずデュビアという単語に出会いますね。そんなデュビアについて、今回は徹底的に解説を行います。
デュビアとはどんな生き物か・生態・餌・飼育方法など詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
以下の目次からお好きなところへジャンプできます。
デュビアとは?
デュビアというのは通称で、正式には「アルゼンチンフォレストローチ」という名前のゴキブリです。
しかし、その辺にいる汚いゴキブリとは全く違い、南米原産で餌としてずっと養殖されている種類ですし、天然のものではないので安心してください。
デュビアのメリット
ここでは、生き餌としてのデュビアのメリットを解説していきます。さきにメリットをまとめておきますね!
デュビアの8つのメリット
- 動きが遅い(相対的に)ので掴みやすい
- 嗜好性が高く多くの生き物が好む
- 生命力が強くストックしやすい
- においがほとんどない
- つるつるの壁を登れないので脱走されにくい
- 飛べないので脱走されにくい
- 鳴かないのでうるさくない
- 寿命が長い
それでは詳しく説明していきます。
デュビアのメリット①動きが速くない
デュビアはのろまではありませんが、ほかの餌昆虫と比較すると遅いといえます。
これは、ペットに餌として与える際、飼育者が捕まえるのに苦労しないで済むというメリットになります。
速くて捕まえられないのは意外とストレスになりますよ。
また、ペットケージ内に放ってエサにする場合、ペットが捕食しやすいです。ペットが餌を捕まえられず隠れてしまったりすると面倒ですよね。
なので、主食としてデュビアを与えていくのであれば、遅いことは大きなメリットといえるでしょう。
デュビアのメリット②ほとんどの生き物が好んで食べる
デュビアは多くの昆虫食の爬虫類・両生類が好みます。個体差はあると思いますが、一般的にはまず多くのペットが大好きな昆虫になると思います。
おそらく、昆虫食の生き物にとっては見た目も食べやすさも味もいいのでしょう。そういう意味ではかなり嗜好性の高いエサということができます。
デュビアのメリット③生命力が強い
デュビアは非常に生命力が強いです。多少の餌切れや水切れでは死なないかなり強い生き物です。
これは、ペットのエサとして与えられるまで、生きたままストックしやすいということにつながります。
コオロギ類は死にやすいといわれますが、デュビアはちょっとやそっとのことでは死にません。
デュビアのメリット④においがほとんどない
デュビアは飼育していてもにおいがあまり気になりません。もちろん、完全無臭ではないので大量に飼育しているとにおいはします。
しかし、ほかの餌昆虫のにおいが「くさい」といっていいのに対し、デュビアは「におう」くらいのものだと思います(個人の感想です)。
とくにレッドローチはかなりくさいので、においを気にするならデュビアのほうがおすすめです。
ただ、どの餌昆虫にしても、においが気になるのは数百匹や数千匹単位での大量飼育の場合だと思います。
100匹くらい買ってなくなったらまた買い足すといった使い方なら気にする必要はないかもしれません。
デュビアのメリット⑤つるつるの壁をのぼれない
デュビアはプラスチックやガラスなどのつるつるとした壁を登ることができません。
これは餌として流通する昆虫には共通の特徴で、脱走の可能性が低いというメリットになります。餌昆虫の大前提ともいえる特徴です。
しかし、つるつるの壁でも、傷や汚れがあれば登れてしまいますのでフタはあった方がいいです。
デュビアのメリット⑥飛べない
デュビアは、成虫になるとオスだけ立派な羽が生えます。
しかしクロゴキブリなどとは違って自由に飛ぶことはできません。私は数年間デュビアを飼育していますが、デュビアが飛んでいるのを見たことはありません。
ただ、落下時には羽ばたいたりするので羽を動かせないわけではないようです。おそらく、飛び上がることはできないのではないかと考えています。
デュビアのメリット⑦鳴かない
デュビアは鳴き声で求愛することがありません。音が鳴るとすれば動いた時のカサカサ音だけです。
寝室に近い場所や、寝る部屋で餌昆虫を飼育しなくてはいけないという方にとってはコオロギはうるさくて大変だと思いますのでゴキブリをおすすめします。
デュビアのメリット⑧寿命が長い
デュビアは幼虫期間が約半年、成虫になってからも1年~1年半ほど生きるとされています。
なので、餌になる前に寿命が来て死んでしまうということはめったにないでしょう。
デュビアのデメリット
次にデュビアのデメリットをご紹介・解説していきます。さきにデメリットをまとめてあげておきます。
デュビアの4つのデメリット
- あまり動かないのでペットが気づきにくい
- 床材があると潜ってしまう
- 成長速度が遅いので繁殖が難しい
- 成虫はサイズが大きいので消費しきれない可能性
それでは詳しく解説していきます。
デュビアのデメリット①あまり動かない
デュビアはあまり活動的ではなありません。なのでペットケージに放ってエサにする場合、入れてもデュビアが動かず、ペットが気づかないということがあります。
デュビアのメリットの裏返しのようなデメリットですが、ピンセットなどで掴んで直接食べさせれば問題はありません。
デュビアのデメリット②潜る習性がある
デュビアは土の中に潜る習性があります。これもペットのケージに放ってあげる場合に問題になるのですが、床材を敷いているとそこに潜ってしまいます。
個人的にデュビアの一番のデメリットだと考えています。
しかし、潜れない床材で飼育することや、エサ用の皿を用意すること、またはピンセットから直接あげるなどの方法で対策可能です。
デュビアのデメリット③成長が遅い
私の飼育経験上、デュビアは生まれてから成虫になるまでに、平均約半年くらいの時間を要します。繁殖させて飼育したい場合にデメリットになります。
しかし言い換えれば、成長が遅いからサイズを保ったままストックしやすいことにもなります。
定期的に少量購入したい方にとっては問題なくむしろメリットといえるでしょう。
成長が遅いので繁殖するには大量飼育が必要になりますが、繁殖自体は簡単です。
後ほど繁殖についても解説しますね。
デュビアのデメリット④最大サイズが大きい
デュビアは成虫になると4cm前後まで成長します。このサイズを食べるには大型のペットでなければなりません。
繁殖したい方にとっては問題ありませんが、小型のペットしか飼っていない方は消費できないサイズです。
ただ、先述のとおりデュビアは成長速度が遅いので、ちょうどいいサイズを買って使い切ったらまた買い足すという形であれば問題ありません。
デュビアはカナヘビには向いてるのか?
デュビアは昆虫食のペットにはおすすめの餌です。しかし、カナヘビはどうでしょうか。
まず、カナヘビが食べられるデュビアのサイズは約1cm前後の幼虫に限ります。それ以上では食べられませんし、食べれても消化に良くないでしょう。
なので、購入する場合は、SSサイズやSサイズになるかと思います。
ただ、カナヘビはデュビアを食べます。
これまで私が飼育してきたカナヘビで、デュビアを食べない個体はいませんでした。基本は食べるし、好む傾向にあると考えていいと思います。
それでも個体差はあるので、食べない個体は食べないかもしれませんが、ュビアは餌として優れているし扱いやすいので試してみる価値はあるはすです。
結論
カナヘビは、成長しすぎだデュビアは食べれないけど小さいデュビアなら好んで食べる!
デュビアの飼育方法
ここでは、デュビアの飼育方法を説明していきます。
用意するもの
デュビアの飼育にあたって準備するものは以下の通りです。
- 衣装ケースなどの蓋付プラスチックケース
- 鉢底ネット
- 紙製の卵パックや紙ポッド
- エサ皿
プラスチックケース
ケースはつるつるしたフタ付のもので、切ったりしやすいようプラスチックのものがおすすめです。
大きさは広すぎず狭すぎないものにしましょう。デュビアは密集するのが好きなようなので多少狭くても問題ありませんが、狭すぎて移動できないようではいけません。
目安ですが、Sサイズ100匹くらいであればダイソーの一番小さいシューズケースでも十分(広すぎるくらい)です。Sサイズ100くらいのストックにはおすすめですよ。
フタについて
また、ケースのフタはそのままだとケース内が高湿度になり最悪デュビアが死んでしまいます。
そのため、ケースのフタを大きく切り取って、そこを埋めるように鉢底ネットを接着剤でくっつけましょう。
以下のコオロギの記事でフタの改造方法を解説していますので参考にしてください。
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【随時更新】イエコの最強の飼育方法を解説!元気に栄養たっぷりに!
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エサ皿について
エサ皿は、デュビアたちにエサをあげるときにエサを乗せるために使用します。適しているのは浅くてつるつるしていないものです。
少しだけフチのついた竹製コースターなんかがおすすめですが、なければフチなしのものでも構いません。
プラスチック製のものを使う場合はデュビアたちが歩けるように必ずヤスリをかけてください。
紙製卵パックについて
紙製の卵パックやポッドはデュビアの足場や隠れ家として使用します。手に入らなければ、鉢底ネットを筒状に丸めて結束バンドで固定したものでもいいです。
デュビアのケージを作る
用意するものがそろったら、配置していきましょう。
まずはエサ皿を配置します。
エサ皿は、真ん中に置くとデュビアみんながエサにありつきやすいのでおすすめですが、広くないケースの場合は置きやすい場所で構いません。
エサ皿を置いたらそれ以外の場所には卵パックや鉢底ネットで足場を作っていきます。
デュビアはケースの底など平らな面でひっくり返ると起き上がれずに死んでしまうので、必ずまんべんなく足場を置いてください。
ここまで準備できたら、デュビアを投入して飼育開始です。
デュビアの餌
デュビアの餌や、餌のあげ方について説明します。
ラビットフードがおすすめ!
デュビアの餌には「ラビットフード」がおすすめです。デュビアは雑食性なので何でもいいのですが、ラビットフードなら栄養もありますし、デュビアも好んで食べてくれます。
ですがラビットフードをそのままあげると硬く、水分不足になっていく可能性があるので、少量の水分を含ませてあげましょう。
多すぎる水分は水浸しや湿度上昇などからデュビアの大量死やダニなどの発生につながりますので注意です。
時々、野菜や果物をあげても喜んでくれます。
その際は、農薬が残らないようしっかり洗い、さらにしっかり水気をふき取ってからあげましょう。
おすすめの野菜・果物
かぼちゃ、キャベツ、ほうれんそう、レタス、にんじん、りんご、バナナ
餌のやり方
餌は毎日に越したことはありませんが、2日に1回でも大丈夫ですし、少しくらいあげなくても大丈夫です。
ただ栄養たっぷりの健康な状態でペットの餌にするにはできるだけこまめにあげるのがいいですよ。
1日で食べきらなかった分は必ず回収して捨てましょう。いつまでも放置すると不衛生ですしダニやコバエが沸く原因になります。
だんだん1日で食べる量もわかってくると思いますのでうまく調整しましょう。
また、餌をあげる際は必ずエサ皿の上にエサを置いてください。そうすれば食べ残しも掃除しやすくなるので不衛生になりにくいです。
デュビアを飼育するうえで注意すること
デュビアは丈夫な生き物ですが飼育方法によっては死亡率が高くなったり、ダニなどが大量発生して処分せざるを得ないということもあります。
ここではその対策をご紹介します。
デュビア飼育の注意点
- 高湿度による大量死
- 水分不足による脱水
- 不衛生によるダニの発生
高湿度による大量死
デュビアは湿度が高いと死亡率が高くなります。
湿度そのものによって死んでいるのか、高湿度による何かしらの弊害で死んでいるのかわかりませんが、明らかに死にやすいです。
また、狭いケースに必要以上に大量に飼育すると湿度が上がりやすくなります。
密を好むとはいえ、過剰な密集は湿度上昇の原因ですのでケースを分けるなどで対策しましょう。
卵パックで飼育している場合は穴を空けたり、パックが完全に重ならないよう間に鉢底ネットをかませるなどで、とにかく空気がこもらないようにしましょう。
常に乾燥気味で飼育するようにつとめ、湿度は最高でも80%を超えないように心がけてください。
水分不足による脱水
デュビアは水切れに強いですが、補給する水分がゼロでは死んでしまいます。
すでにおすすめしたように、ラビットフードに少し水分を含ませることで問題ありません。
ただ、水の入れすぎは高湿度や水浸しを招きますので、少しふやかすくらいでOKです。
不衛生によるダニの発生
「不衛生な環境+高湿度=ダニの発生」という式があります。
ダニやチャタテムシなどが大量発生してしまうと、彼らだけ駆除することは困難で、デュビアもろとも処分しなければいけません。
ダニ類については詳しくないのですが、発生して良いことはありませんし、非常に不快です。デュビアたちにどんな影響があるかもわかりません。
なので、対策として、
- エサは毎日、フンもためすぎずにきれいにする
- とにかく乾燥状態にすることを心がける
これらを徹底してください。
※フンについて
フンについてはあった方がいいという意見もありますが、不衛生にするくらいなら片づけてしまって問題ないと思います。私はフンが下に落ちるようなケースで飼育していますが問題ないです。
デュビアの繁殖
デュビアは成虫になってオスとメスがいる状態であれば交尾し、繁殖していきます。
デュビアは卵胎生という繁殖方法で子を増やします。これは母親が体の中で卵を孵化させて、幼虫を産むという繁殖方法なので、飼育者が卵を管理する必要がありません。
なのでデュビア繁殖については、することがありません。成虫のオスとメスを一緒に飼育していれば勝手に赤ちゃんデュビアが増えていきます。
デュビアの繁殖サイクル確立には大量飼育が必須
デュビアは繁殖に手がかからない一方、繁殖サイクルを作ることはちょっと難しいです。
デメリットでもお伝えしましたが、デュビアは孵化から羽化まで半年くらいかかるからです。さらに、産むペースも早くありません。
メスはおよそ2~3か月に1回程度、30匹前後の幼虫を産み、それを生涯約6回繰り返すと言われています。
なので成熟後1年半くらいの間に180匹くらい子を産む計算になります。
したがってデュビアの繁殖サイクルを完成させるには、成虫を含めた各サイズを大量に購入するところから始まることになります。
デュビア繁殖のコツ
デュビアを効率的に繁殖させるコツは、以下の4点です。
デュビア繁殖のコツ
- 密状態で飼育する
- 28度前後で飼育する
- メスの比率を大きくする
- 毎日エサをあげる
密状態で飼育する
デュビアは習性として密集状態を好みます。また、オスとメスが出会う機会を多くするため、密集している方がいいです。
ただ、身動きが取れないような過密状態では湿度が異常に上がってしまいます。
餌も食べられずに死んでしまうということになりかねませんので、少し意識するだけでいいです。
28度前後で飼育する
昆虫は温度が低いほど活動が鈍くなり、高いほど活発になります。デュビアも例外ではなく、繁殖には28度くらいが適していると言われています。
逆に35度を超えてくると耐えられず死ぬようになってくるので加熱すればいいというものでもありません。
夏は直射日光が当たらないところで問題ありませんが、冬の繁殖は大変です。暖房の部屋で飼育したり、パネルヒーターを敷いて飼育しましょう。
メスを多めに飼育する
デュビアの繁殖には、オスよりメスが多い方が良く、オス:メス=3:7程度が良いと言われています。
これについては、よくそういわれるというレベルであり、経験から確信したというわけではありません。
しかし単純に考えてメスが多ければ産卵数も多くなるので、成虫を購入する際は、メスの比率を高めに買うことを意識するといいですよ。
エサを毎日あげる
エサは毎日あげましょう。メスのデュビアは自分の生命を維持しながら一生懸命卵を作っています。少しでも栄養を蓄えさせるため、エサの頻度にはこだわった方がいいです。
まとめ
今回はデュビアの特徴やメリットデメリット、飼育方法など詳しく解説してきました。デュビアは爬虫類・両生類のエサとして優秀な昆虫なので、記事を参考にしてぜひ飼育してみてください!